医療・介護

経営統合後の現場改善、何から手をつけるか:介護施設・病院のための優先順位のつけ方

公開日: 執筆者: Haruka Motozutsumi

介護施設や病院の経営統合のあと、経営層が最初に直面するのは「どちらの現場のやり方に合わせるのか」という問いです。記録の書式、申し送りの方法、物品の置き場——ひとつひとつは小さくても、現場の毎日を形づくるルールが2セット存在する。この状態で何から手をつけるべきかを、実践手順として整理します。

統合直後の90日が勝負である理由

統合直後の現場には、不安と同時に「変わるなら今」という空気があります。この時期を逃すと、旧法人ごとの流儀がそのまま再固定化し、1つの組織の中に2つの文化が並走し続けることになります。逆に、この90日で「意見を聞いてもらえた」という体験をつくれると、その後の統合は格段に進めやすくなります。

ステップ1: 両現場から「気づき」を棚卸しする

最初にやるべきは、標準化の押しつけではなく気づきの収集です。

  • 「前の法人ではこうしていた」「この手順は二度手間に感じる」を、役職を問わず出してもらう
  • シフト勤務で全員が揃わない前提で、会議に依存しない収集手段(音声メモ・スマホ入力)を用意する
  • 外国人スタッフや夜勤専従など、声が届きにくい層こそ意識的に拾う

ここで集まる気づきは、統合現場の「本音の地図」になります。

ステップ2: 2軸マトリクスで優先順位をつける

集まった気づきを、次の2軸で並べます。

  1. 効果の大きさ:削減できる時間×発生頻度(金額換算できればなお良い)
  2. 実行のしやすさ:投資の要否、関係部署の数、規程変更の要否

まず着手すべきは「効果中〜大×実行容易」の象限です。統合初期は成果の速さが信頼をつくるため、大きいが難しいテーマ(システム統合など)より先に、現場が効果を実感できる改善を積みます。

ステップ3: 「どちらに合わせるか」を数字で決める

書式や手順が2通りある場合は、両方の所要時間・エラー率を比較し、数字で決めます。感情論を避けられるだけでなく、「両者のいいとこ取りをした第三の標準」が生まれることも多く、これはどちらの現場にとっても敗北にならない統合の進め方です。

まとめ

  • 統合後90日以内に「気づきの棚卸し」から始める(標準化の押しつけから始めない)
  • 優先順位は「効果×実行容易性」の2軸マトリクスで機械的に決める
  • 流儀の統一は数字で比較し、第三の標準を恐れない

よくある質問

経営統合後、現場改善はいつから始めるべきですか?

統合直後の90日が勝負です。この期間は現場が「変化を受け入れる準備」ができている一方、放置すると旧法人ごとの流儀が再固定化してしまいます。

2つの施設でやり方が違う場合、どちらに合わせるべきですか?

「どちらか」ではなく、両現場から気づきを集めて数値で比較するのが定石です。第三の選択肢(両者のいいとこ取り)が最適になるケースが多くあります。

医療・介護現場で改善の声を集めるコツは?

シフト勤務で全員が揃わない前提で設計することです。会議に依存せず、隙間時間に音声やスマホで出せる仕組みが有効です。